ピラティスは体が柔らかくないと難しい?
ヨガは柔軟性がないと難しいと思われる傾向がありますが、ピラティスも同様に柔軟性が必要だと思われる傾向があります。
ヨガの動きも、上級者になればなるほど柔軟性が必要なポーズ(アーサナ)をとりますが、最初から柔軟性がなければできないというものではありません。続けていくうちに、柔軟性が身に付き、様々なアーサナをとることができるようになっていきます。
一方ピラティスは、柔軟性が身についていき、とても柔らかい体になる、ということはなく、また柔軟性も最初から求められることもありません。
過度に柔らかい体は体の本来の機能を働かせにくくなる材料にもなるとピラティスでは考えられます。例えば、背骨がとても柔軟に伸展することができるという体は、骨自体にはかなりの負担をかけていることになります。筋肉が骨へかかる負担を十分に補っており、筋肉も一部だけではなくバランスの良い付き方場合はあまり問題にはなりませんが、筋力がなく背骨の関節の柔軟性のみで過度の伸展をしていると、背中側の筋肉と拮抗すべき腹筋群が弱い状態になりやすくなります。筋力的にバランスが取れないことで、本来の機能を損なってしまう可能性も高くなります。
ピラティスでは体の持つ必要な柔軟性をつけることに着目します。肩が回せない、首が回せない、屈伸をすることができないといった柔軟性のなさによる日常生活の問題を解決することが、柔軟性を身に付けることのゴールともいえます。
従って、体が硬いからピラティスはできない、ということはありません。
ピラティスは体が柔らかくなる?
前述しましたが、ピラティスで体がとても柔らかくなるとは言えません。しかし、硬い体に本来の柔軟性を取り戻させることはできます。
体が硬く、肩を回せない・ストレッチすると痛みが出る・首を横に倒せない・前屈ができない、といった日常生活に支障の出るような柔軟性の問題はピラティスで解決することが可能です。
ピラティスでは体本来の持つ機能を回復させ、強化することが目的に作られたため、柔軟性の欠ける体をしなやかで動ける機能的な体に戻すことは得意分野だと言えるでしょう。
ピラティスはストレッチと違う?
ピラティスでもストレッチを目的とした動きはありますが、ピラティス自体がストレッチの役割を果たすということはありません。
ピラティスのストレッチで簡単なものとして「シェル・ストレッチ(Shell Stretch)があります。これは背中の筋肉をゆるめ、脊柱を伸ばすストレッチになっています。
この動きはエクササイズの合間にはさむものとして用いられることが多く、メインに扱われることはほとんどありません。
しかし、ピラティスではエクササイズで使った筋肉を収縮している状態から伸ばし、柔軟な筋肉になるように、レッスンで欠かさず取り入れられています。
シェル・ストレッチは脊柱が自然に描くことができる範囲のカーブで周辺の筋肉を伸ばすため、体の負担にならず柔軟性を手に入れることができます。
ストレッチで起こってしまうことは、体を伸ばし過ぎることで体の持つ本来の可動域を超えてしまい、筋や筋肉を痛めてしまうことです。
ピラティスでは解剖学に基づいて動作を行うため、正しい方法で行えばストレッチによる怪我をすることなく柔軟性のある体になります。